鶏口となるも牛後となるなかれ

ランチェスター戦略

「鶏口」=鶏の口の意味から転じて、小さな団体の長のたとえ。

「牛後」=牛の尻の意味から転じて、大きな団体に従って使われる者のたとえ。

鶏口牛後という四字熟語としても使います。「けいこうぎゅうご」と読みます。

昔の中国、秦が強大な力を持っていた時、諸国は連携して秦を叩くか、秦に降伏して秦の国の一部になるかを選ばなければならない状況になりました。諸国の中には韓(かん)という国があり、韓の国主は大いに悩みますが、家来の蘇秦(そしん)という人が一言、「鶏口となるも牛後となるなかれ」。秦という国の属国となるよりも(韓の王は秦王の家臣になるので)、小国の王のほうでいてください、韓は未だ強大で王も健在ならば、秦に屈するのは天下の笑いものですよとお願いしたわけです。

これもランチェスター戦略で捉えれば、地域を絞ってナンバーワンのシェアをとることで、国を守れますが、やはり2位が1位に張り合すぎると衰退する可能性があります。張り合うとは同質化競争(ミート戦略)です。武器効率が1になれば、兵力数で優る上位企業が有利です。

ランチェスター戦略では2位は弱者と定義していますが、一般に2位の企業は自社を弱者とは思っていません。強者だと意識してしますものです。特に名門企業であればなおさらのことです。しかし、弱者、強者は市場シェアの問題であって規模や歴史や格式は関係ありません。裏を返せば、下位企業と同質化競争をすれば有利に戦えます。2位は3位にミートすればよいのです。

その結果、蘇秦は6カ国をまとめ上げて秦と対抗し15年間もの間、平和な世を作りました。

『鶏口となるも牛後となるなかれ』という言葉は、トップとしてのプライドや地位の保持ではなく、戦略として捉えることが重要なのです。