企業を取り巻く経営環境が不確実性を増す中、日本企業は企業規模に関係なく、生き残りを懸けた、最善の企業経営を求められるようになりました。中でも日本企業の大半を占める中小企業・零細企業はより差別化された戦略が必要です。今回は、中小企業が押さえておきたい「ランチェスター戦略」についてご紹介いたします。
ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略とは、あらゆる企業間競争において企業が勝ち残っていくための理論および実践を指すマーケティング関連用語です。少子高齢化社会・国内市場の成熟化に直面している日本社会において、日本企業が生き残りをかけた経営戦略、営業戦略の根幹となるマーケティング戦略として注目されています。
この戦略は、企業の営業力を「 質的経営資源 」と「 量的経営資源 」に分解したうえで、経営資源の有効的な活用方法や、ときには大が小を打ち破るための解決策を与えてくれます。
大企業・中小企業問わずに実践できる戦略であり、中でも中小企業においては、経営資源の大きい大企業に太刀打ちできる戦略として活用できます。
ランチェスター戦略の2つの法則
ランチェスター戦略は、元々イギリスの航空工学研究者F.W.ランチェスターが生み出した敵軍を打ち負かす軍事目的の法則であり、米コロンビア大学の数学教授B.O.クープマンらによって、さらに高度な軍事戦略方程式まで発展しました。その後、さまざまな研究に用いられる中で産業界にも応用化され、日本の経済界においては田岡信夫氏によって企業の販売戦略に応用されたという経緯があります。
ランチェスター法則では、軍事戦略における軍隊の強さ・力を示す「戦闘力」は「武器効率」と「兵力数」で決まると考えます。これを経営戦略に応用し、以下のように置き換えて戦略を検討します。
- 戦闘力→顧客を開拓し売上を上げ利益を確保する「営業力」
- 武器効率→商品力や技術開発力といった「質的経営資源」
- 兵力数→社員数や設備機器数といった「量的経営資源」
ランチェスター戦略では、「質的経営資源」と「量的経営資源」を活用して「営業力」を高めるための経営戦略を、2つの法則から導き出します。それでは2つの法則とは具体的にどのような法則なのでしょうか。
第一の法則「弱者の法則」
ランチェスター戦略の第一の法則である「弱者の法則」は、質的経営資源を活用し「 量より質 」の考え方に基づく一騎打ち、局地戦、接近戦において、勝率が高くなるという法則です。
市場占有率が2位以下の会社はすべて「弱者」として位置づけられ、そうした 「弱者」が「強者」に対抗するためには、第一法則を取るべきであるとされます。
主に 経営資源が少ない中小企業・零細企業 が取り組みやすく、 自社の経営資源が競合他社よりも少ない場合 に有効です。
ランチェスター戦略の「弱者の法則」においては、以下の公式があてはまります。
戦闘力 = 武器効率 × 兵力数
↓
営業力 = 質的経営資源 × 量的経営資源
「弱者の法則」に基づく代表的な経営戦略には、 《差別化戦略・集中戦略》 が挙げられます。ターゲットとなる顧客層を分析し、競合他社の商品・サービスにはない差別化要素を付与することで、特定の市場や顧客層のシェア獲得を目指します。
この戦略は軍事作戦でいう「奇襲の法則(一騎打ちや局地戦、接近戦)」や、武器効率が兵力数を上回る「武器の法則」、兵力を集中する「集中の原則(局所優勢)」を応用しています。
第二の法則「強者の法則」
ランチェスター戦略の第二の法則である「強者の法則」は、量的経営資源を活かした確率戦、広域戦、遠隔戦において勝率が高くなるという法則で「 質より量 」を重視します。
主に 経営資源が豊富で社員数が多い大企業 が取り組みやすく、 社員数や設備機器数といった量的経営資源が競合他社よりも多い場合 に有効です。
ランチェスター戦略の「強者の法則」においては、以下の公式があてはまります。
戦闘力 = 武器効率 × 兵力数の2乗
↓
営業力 = 質的経営資源 × 量的経営資源の2乗
第一法則と比較した場合、計算式の違いは量的経営資源の項を2乗しているかしていないかの違いしかありません。どちらの計算式においても、「量的経営資源」が大きい方が有利であることは明らかなのですが、第一法則では「質的経営資源」で有利に立てば勝ち目はあるといえます。しかし、 第二法則においては2乗しているがゆえに、「量的経営資源」に勝る方が圧倒的に有利である といえるのです。
「強者の法則」に基づく代表的な経営戦略には、 《ミート戦略》 が挙げられます。競合他社が提供する商品・サービスに、類似品・類似サービスを提供し、競合他社の差別化戦略の効果を薄めることで、競争優位性を確保します。そのほかにも、市場をマスで捉え、市場の占有率を一気に高める方法も「強者の法則」に当てはめられるといえるでしょう。
「強者の法則」では特定の競合との局地戦に持ち込むのではなく、 市場にいち早く参入して市場シェアを一気に高めたり、特定の地域に着目するのではなく市場を広く捉えて市場の占有率を高めたりします。 自社が有する販売網や規模の経済(生産量の増加による一つあたりの生産コストを下がる)を活かして、量的経営資源を前提とした競争を展開します。
参考にしたいランチェスターの法則に基づいた戦略
項目 | 弱者の法則 | 強者の法則 |
---|---|---|
商品 | 1商品に集中 | 多種多様な商品の展開 |
展開範囲 | 地域限定(局所限定) | 全国・グローバル展開 |
ターゲット | 顧客属性の絞込み | 複数の顧客属性をカバー |
選択したい市場 | ニッチ市場 | 経済規模の大きな市場 |
採用したい販売戦略 | 差別化戦略 | ミート戦略 |
営業戦略 | チラシ配り・テレアポ・訪問営業 | テレビCMや新聞・雑誌媒体への広告出稿、SNSの活用 |
選択したい人事戦略 | 社員教育の充実 | 企業買収や人材の積極採用 |
マーケットシェア理論(市場シェア理論)とは
マーケットシェア理論とは、企業が既存市場への新規参入やシェア拡大を図る上で、クープマンモデルから導き出された7つのシェアのシンボル目標数値に基づき、自社の市場シェア率を計測する経営理論を指します。
マーケットシェア理論のシンボル目標数値は7つに分けられ、目指すべき目標値によって、採用するランチェスター戦略が変わります。それぞれの目標値と意味は以下の通りです。
項目 | シェア率の 目標値 |
目標値の意味 |
---|---|---|
上限目標値 | 73.9% | 市場における一社独占を意味します。 |
安定目標値 | 41.7% | 市場における圧倒的な競争優位性を確立し、首位独走の 条件とされているため、多くの企業が目指す目標値です。 |
下限目標値 | 26.1% | ランチェスターの法則における強者の最低条件として 知られています。 |
上位目標値 | 19.3% | ここから下はランチェスターの法則における「弱者」と 定義されるため、「弱者の法則」に則った戦略を打ち出す ことで、シェア拡大を図ります。上位目標値は弱者グループの中における強者として 位置付けられます。 |
影響目標値 | 10.9% | 市場全体に影響を与える目標値であり、シェア争いに 本格的に参入する目標値とされています。そのため、 新規参入を目指す企業においては、この影響目標値を 目標値に設定することとなります。 |
存在目標値 | 6.8% | 競合他社に存在を認められるシェア率ですが、同時に 市場への影響力が少ないため、市場からの撤退を検討する 基準として位置付けられています。 |
拠点目標値 | 2.8% | 市場参入戦略を適用すべき目安であり、拠点目標値を 上回った場合は競争戦略に転換しなければいけません。 |
このように既存市場において、自社の立ち位置を把握することで、採用すべき経営戦略・マーケティング戦略を選定することができるため、マーケットシェア理論はランチェスター戦略を打ち出す際には欠かせない経営理論といえます。
中小企業がランチェスター戦略を実践するメリット
経営資源(ヒト、モノ、カネ)が少ない中小企業にとって、ランチェスター戦略に基づく経営戦略・マーケティング戦略は、独自の企業経営を構築できる素晴らしい戦略といえます。
今回は中小企業の視点におけるランチェスター戦略のメリットをご紹介いたします。
差別化戦略の有用性が高まっており、強者に勝てるチャンスがある
市場ではイノベーションによる技術革新により、顧客(消費者)ニーズ・価値観の多様化が進んでいます。
【出典】経済産業省 「消費者理解に基づく消費経済市場の活性化」研究会 (消費インテリジェンス研究会) 報告書
ニーズが多様化しているということは、市場も細分化されているということ。ランチェスターの法則における「弱者の法則」の「一点集中主義の経営戦略」の有効性が高まっているということです。強者と局地戦に持ち込み、差別化戦略をとることで強者に勝てるチャンスが見えてくるはずです。
【参考】経済産業省 中小企業庁 2017年版中小企業白書 概要
ニッチ市場でトップシェア獲得し競合優位性を確保できる
経営資源で勝る大企業は「規模の経済」の費用対効果やランチェスターの法則における「強者の法則」に基づいて、市場への参入を決定します。そのため、これらの原則に適さない場合は「収益化が見込めない」と判断され、新規参入を見送ります。
このように、大企業が見向きもしないニッチ市場を主戦場としてシェアを拡大することで、競争優位性を確保し、安定的な収益を見込めます。
価格主導権を獲得できる
市場に展開される商品の価格決定の主導権は、シェアの高い企業が握っています。つまりランチェスター戦略によって開拓したニッチ市場でトップシェアを獲得することは、同時にその市場での価格主導権を獲得することです。
たとえニッチ市場だとしても価格主導権を獲得することで、価格競争に巻き込まれず、高い利益率を維持できます。利益を商品のブラッシュアップや新商品開発に再投資することもでき、健全な経営状況を実現しやすくなるでしょう。
事例から学ぶランチェスター戦略
ランチェスター戦略は、多くの日本企業が実践しており、業界内のシェア獲得、新規事業への参入、独自の営業戦略の立案に効果的です。ランチェスター戦略の活用により、参入時はベンチャー企業・スタートアップ企業であった企業も、東証一部・NY証券上場企業にまで企業価値を向上させた事例も多く挙げられます。
本章では、ランチェスター戦略において 企業価値の向上に成功した一部の事例をご紹介いたします。
株式会社セブンイレブンジャパンの地域戦略
コンビニエンスストア大手の株式会社セブンイレブンジャパン(以下、セブンイレブン)は、創業当時、大衆向けのスーパーマーケットが主流となっており、中小企業の小売店が劣勢に立たされていた時期でした。しかし、POSシステムの導入や共同配送の拡大などのセブンイレブン独自の強みを活かしたことで、地域住民に根ざした小売店の立ち位置の確立に成功しました。
2000年にはお食事配達サービスである「セブンミール」を開始し、2009年には「『近くて便利』なお店を目指す」というコンセプトを打ち出しました。現在も高齢者世帯の増加や小売店・サービス拠点の減少などの社会変化に対応すべく、地域の顧客の心理的を縮めるための地域戦略を次々と打ち出しています。
【参考】株式会社セブンイレブンジャパン 変化への対応と、挑戦の歴史
Apple社の流通戦略(シェアUP戦略)
インターネット関連の製品・サービスの開発を担う世界有数の多国籍テクノロジー企業であるアップル社(以下、アップル)では、画期的な製品であるiPhoneを生み出し、世界中のモバイル市場を瞬く間に制覇したことは周知の事実です。一方で、アップル社は自社製品のシェア拡大において、優れた流通改革を行なったといわれています。
一定水準以上の売上成長率を見込める販売力の高い企業を1社に絞ることで、高い利益確保を目指したといわれています。日本にiPhoneが上陸した際に、販売権を獲得した携帯事業会社はソフトバンク株式会社1社のみであったことも、アップルが選択した販売戦略の一環として考えられるでしょう。また、直営店であるアップルストアを各国の都市圏に設立し、販売網を一箇所に集約することで、莫大な流通コストを押さえることに成功したといわれています。
【参考】ZDNet Japan ジョブズの隠れた功績は「流通改革」–強引な戦略を世界で定着させた手腕
株式会社エイチ・アイ・エスの営業戦略
日本の旅行業社大手の株式会社エイチ・アイ・エス(以下、HIS)は、創業時期は関西地区の拠点として大阪営業所を、海外支店を香港に設立し、一極集中の営業戦略を選択したといわれています。
HISは成長時期において、当時は有名ではなかったリゾート地を集中的に扱い、利用する航空会社を限定することで、格安旅行を提供するという差別化戦略を実施。その後、中部地区、九州地区と一点集中戦略の範囲を拡大していき、旅行業者大手企業として成長し、現在ではランチェスター戦略の強者としての地位を確立しています。
ソフトバンク株式会社の市場参入戦略(差別化戦略)
携帯電話事業を手掛けるソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、2006年4月にボーダフォン株式会社をグループ会社の傘下にし、本格的に国内携帯電話事業に参入を果たしました。
当時、携帯電話事業において、圧倒的なシェア率を誇っていた株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と差別化するために、携帯電話向け新料金プラン「ホワイトプラン」(時間帯指定の無料通話プラン)の提供を開始。その後も、家族向け携帯電話割引サービス「ホワイト家族24」(家族同士の通話・メールが24時間無料)や2008年のアップル社のiPhone独占販売、国内移動通信事業者初のLTE国際ローミングの開始など徹底した差別化戦略を打ち出し、単純合算シェア率31.1%(NTTドコモ36.7%、KDDIグループ32.2%)まで拡大させることに成功しました。
【参考】ソフトバンク株式会社 会社案内 沿革
【参考】総務省 電気通信事業分野における市場の動向
【中小企業向け】ランチェスター戦略(弱者の法則)の成功ポイント
中小企業がランチェスター戦略を成功させるには、以下のポイントを押さえることが大切です。
セグメンテーション(顧客セグメント)の徹底
中小企業が選択しやすいランチェスター戦略では、セグメンテーション(顧客セグメント)のプロセスが重要となります。
セグメンテーションとは、市場に存在するニーズ・価値観を単体、またはグループ化して市場を細分化することです。性別、年齢、職業、地域などのさまざまな切り口から市場を分析するプロセスが、経営資源が豊富な競合他社との競争を勝ち抜くための 自社の強みの発見や差別化集中戦略につながります 。
一点集中主義の徹底
市場を細分化したら、その市場の中の標的顧客に的を絞り、経営資源を集中させます。狙うべきニッチな市場を決めても、経営資源の分散化に繋がるような多種多様な商品を開発。提供しているようでは、経営資源に勝る大企業に対して勝ち目はありません。
量的な経営資源に劣る弱者の取るべき戦略は、「 一点集中 」です。まずは経営資源を集中投下し、 小さい市場でもいいからトップシェアをとることを徹底しましょう 。
「足下の敵」攻撃の原則の活用
ランチェスター戦略の有効な実施施策として、 「足下の敵」攻撃の原則 があります。
「足下の敵」攻撃の原則とは、市場シェアの争奪戦において、シェア率1位の競合他社に攻勢をかけるのではなく、 自社のワンランク下の競合他社に攻勢をかけるべき という原則です。
中小企業が「足下の敵」攻撃の原則を採用する際は、差別化戦略ではなく、ミート戦略を実施します。ワンランク下の競合他社が打ち出す差別化戦略の効果を薄め、同質化していくことで、競争優位性を確立します。その結果、ワンランク下のシェア率を獲得することで、目標値(マーケットシェア理論のシンボル目標数値)となるシェアの拡大が見込めます。
この「足下の敵」攻撃の原則においては、ランチェスターの法則における強者、弱者の立ち位置によって、参考にすべき目標値(マーケットシェア理論のシンボル目標値)が異なります。そのため、「足下の敵」攻撃の原則に基づく戦略を打ち出す際は、自社の立ち位置を慎重に見極めなければいけません。
ランチェスター戦略を学べる、おすすめの書籍(本)のご紹介
ランチェスター戦略は、第一次世界大戦に打ち出された戦争に勝つための軍事戦略であり、日本においても高度経済成長期後半に発表されたマーケティングの実践方法です。そのため、ランチェスター戦略に関する書籍は多数出版されており、基本知識や事例を学ぶことができます。
本章では、主に中小企業の視点で読みたいおすすめの書籍(本)をご紹介いたします。
小さな会社★儲けのルール
ランチェスター戦略において、長年ロングセラーとして発売されている中小企業・零細企業向けのランチェスター戦略の専門書です。最新版では最新の成功事例や追加情報の補完がされており、大企業に競合しない戦略や戦術の打ち出し方を紹介してくれています。
また、著者である竹田陽一氏は倒産企業の特徴を調査し、過去1,000社以上の中小企業を指導した経験の持ち主です。そのため、著者ならではのノウハウを得られるランチェスター戦略の代表的な書籍としても知られています。
中小企業・零細企業の経営者だけでなく、営業担当者、起業家、個人事業主にもおすすめの書籍でもあります。
ランチェスター弱者必勝の戦略―強者に勝つ15の原則
中小企業・零細企業の経営者が採用しがちな経営戦略のほとんどが、大企業が採用するランチェスター戦略「強者の法則」であり、本来、採用すべきは「弱者の戦略」であることを指摘してくれている書籍です。自社が強者・弱者のどちらかを意識することから始め、経営のあり方を再点検することの重要性を説き、ランチェスターの法則に基づいた弱者が強者に勝つための「15の原則」を紹介してくれています。
応用的な戦略論よりも読み手自身のあり方をしっかりと説いてくれるため、経営者だけでなく、現場で働く社員の自己啓発書としても最適です。
【参考】amazon ランチェスター弱者必勝の戦略―強者に勝つ15の原則
小さな会社の稼ぐ技術
中小企業・零細企業向けの経営指導の専門家、竹田陽一氏が唱える、「弱者の戦略」の4つのポイント(差別化、小さな一位、一点集中、接近戦)に焦点を当てた、中小企業・零細企業、個人事業主が採用すべき戦略を説明してくれている書籍です。マーケティング・プロセスの重要なプロセスであるポジショニングや専門化の重要性を説いており、わかりやすい中小企業・零細企業の成功事例も紹介してくれているので、実践的なマーケティング戦略の立案に役立てることができます。
顧客ニーズや価値観の多様化が進む中で、中小零細企業・個人事業主が生き残るべき戦略を幅広く学べるため、起業家やベンチャー企業勤務者にもおすすめです。
「営業」で勝つ! ランチェスター戦略
1時間でランチェスター戦略の基本理論を学べる書籍です。経営者から営業担当者まで幅広い社会人の実務に有効な戦術・施策を紹介してくれています。
成功事例に基づいたランチェスター戦略の解説ではなく、経営戦略を策定したい企業や組織を仮定し、どのように経営戦略を立案・策定していくかを実務的な視点で解説しており、実務につなげやすい書籍といえます。また、シンプルで読みやすく、新入社員やマネジメント職候補の方にもおすすめです。
本書の著者は、ランチェスター戦略の第一人者といわれている福永雅文氏であるため、マーケティングやランチェスター戦略の基本を重点的に学ぶことができます。
まとめ
- ランチェスター戦略は、企業規模に関係なく、採用されるべき経営戦略・マーケティング戦略を打ち出すために応用されています。
- 近年では中小企業や個人事業主に最適な戦略として、注目されていることからも今後必要となっていく機会が増えると考えられます。
- イノベーションによる技術革新が進む中、顧客(消費者)のニーズ・価値観が多様化しているため、差別化された商品(製品)・サービスの提供、ニッチ市場の獲得を可能とするランチェスター戦略は、中小企業にとって、欠かせない戦略といえます。