マーケティングの基礎

マーケティング

マーケティングとは?

「マーケティング」と聞いて、何をイメージされますか?

「マーケティング」という言葉は色々な誤解を生みます。「マーケティング」のイメージを聞くと、こんな答えが返ってきます。

・市場調査(マーケットリサーチのことか?)
・広告をつくること(マーケティングの一部だが全部ではない)
・POPやカタログを作ること(同上)

などです。定義の問題ですので、「マーケティングはそういうものだ」と定義されるのは別に構わないのですが

マーケティングとは

ウィキペディアにこう書いてあります

マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。 また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

簡単に言えば

「お客様に価値を提供してお金をいただくこと」ということです。

とてもシンプルなことで難しい単語もありませんが

さすがにこれでは具体性に欠けるので、どういうことか簡単に説明いたします。

マーケティングで知っておくべき言葉・概念はそんなに多くありません。

マーケティングの基本用語
1) ベネフィット
2) 差別化と強み
3) セグメンテーションとターゲティングとテリトリー
4) 4つのP

これくらいの言葉を抑えておけばほぼ大丈夫です。

では、基本用語を説明して行きましょう。

 

●基本用語その1:ベネフィット

お客様があなたの商品を買うのは、商品自体が欲しいのではありません。

商品がお客様にもたらす何か良いこと(価値)を買っているのです。

ドリルを買うのは

ドリルという器具ではなく、穴が欲しいから

コーヒーを飲むのは

黒くて苦い液体ではなく、リラックスや眠気覚ましが欲しいから

高級車を買うのは

1t の精密機械ではなく、見栄がはりたいから

ゴルフクラブを新調するのは

金属の棒が欲しいのではなく、飛距離や良いスコアが欲しいから

お客様が欲しいのは

何か良いこと、困ったや問題の解決なのです。

お客様は、あなたの商品が欲しいわけではなく、自分にとって良いことが欲しいのです。

当たり前のことですがこのことを忘れてしまってはビジネスになりません。

つまり

これが先ほど申し上げた「お客様に価値を提供してお金をいただく」の「価値提供」という部分です。

「穴」

「リラックス」

「見栄」

「スコア」

がそれぞれ価値なのです

では次の基本用語に行きましょう!

 

●基本用語その2:差別化と強み

お客様に価値を提供すれば買ってもらえるかというとそうもいきません。

その価値を提供しているのはあなただけではないからです。

競合が存在します。

この世の中に存在するのは

自分(自社)とお客様とライバルだけです。

その競合商品よりも、あなたの商品の方が高い価値を提供し、それをお客様に納得していただく必要があります。

競合商品と全く同じであれば、安い方を買うに決まっています。

あなたがコストリーダーであればそれでも良いかもしれませんが、これはなかなかきつい話です。

価格競争力を持つのは素晴らしいことですが、価格だけで勝負すると、体力勝負になってしまいます。

天下のマクドナルドでさえ、価格だけでは勝負していません。

英会話教室のシェアトップ、NOVAも低価格だけではやっていけなくなり、値上げしました。

競合商品ではなく、あなたの商品を買う理由、競合商品との違いをお客様に訴える必要があります。

小売店の場合、扱っている商品が競合店と同じことはよくある話です。

それでも、あなたの店から買う理由を納得していただく必要があります。

 

そうでなければ、泥沼の価格競争になり、負けた方は退場、買った方も傷だらけとなります。

では

何を持って差別化すると言うかと

あなたの強みを使うことです。

普通、弱みで差別化することはありませんから、「差別化ポイント=あなたの強み」ということになります。

あなたが競合他社より強いところで差別化しようとしなければ負ける、追いつかれるだけです。

強みが無かったらどうする? 

強みが無いことも実は多いのですが、それに対する答えは簡単です。

探しましょう。

無ければもう一度探しましょう。

もしくは、作りましょう。

競合よりも努力に努力を重ねて作りましょう

ということになります。

どんな強みを作るのか、が戦略次第です。

それは、どんなお客様に

どんな価値を提供したいのか

自分が得意とすることは何か

などによって変わります。

お客様は正直です。

よりお客様にとって便利な方、より役立つ方、よりたくさんの情報を提供してくれる方、より見やすい方、より愛想のよい方、より元気な方、より早い方などから買うわけです。それぞれが強みの例です。

強みがないということはありません。

必ず何かはあるはずです。

強みについては、3つの方向性で考えるといいです。

1)手軽軸:より低価格で、より便利に買いやすくする
2)商品軸:最新の技術の製品、最高のサービスを提供する
3)密着軸:お客様のことをよく知り、望み・わがままをかなえる

通常はこの3つのどれかで差別化することになります。

例えば、美容院の場合

1)手軽軸

安くて早い理容店。例えば、10分1000円のQBハウス

2)商品軸

最新技術・流行を駆使するカリスマ美容師。

表参道などの繁華街にある。

3)密着軸

お客様のことをよく知り、おしゃべりもうまく、「いつもと同じね」と言えばいつも通りに切ってくれる

というような差別化戦略になります。

個人顧客対象、法人顧客対象を問わず、ほぼ全ての業種・業態でこれは起きています。

では次の基本用語に行きましょう!

 

●基本用語その3:セグメンテーションとターゲティング

あなたの強みがわかったら、または、決まったら、それを評価してくれるお客様はどんな人かを探りましょう。

あなたの強みを評価してくれないお客様を長期的に維持するのは無益です

もちろん

評価してくれなくても、買っていただければそれでいいのですが、それを頼りにすると、売上が安定しません。

そのお客様が評価する強みを提供する顧客に簡単に奪われてしまいます。

あなたの強みが、きめ細やかなサービスなのであれば、それを評価してくれるお客様を定義するのです。

セグメンテーション、というのは、お客様を分けることです。

ターゲティングは、分けたお客様のどれかに絞ることです。

なぜ絞らないといけないのかというと、絞らなければ絞った競合に負けるからです。

私が全ての会社を対象としたコンサルティングを提供しているとしましょう。

競合のコンサルタントさんが、メーカー向けのコンサルティングを提供したら、メーカーさんはそちらに行くでしょう。

別のコンサルタントさんが、小売業向けのコンサルティングを提供したら、小売業さんはそちらに行くでしょう。

お客様を絞らずに多くのお客様を取ろうとすると、絞ってきた競合に負けるのです。

あなたがある市場を独占していればいいですが、通常は競合(広い意味での競合も含めて)が存在します。ですから絞ることが大切です。

セグメンテーションとターゲティングは常にセットです。

絞らない、狙わないのであれば、分ける(セグメンテーション)必要はありませんし、狙うためには、分けることが必要です。

ですから、セグメンテーションとターゲティングは常にセットになります。

やり方については色々ありますが、

セグメンテーションの本質は、ニーズが違うから分ける

ということです。

分類手法、統計などはあくまで手段です。

マーケティングのプロほどこの本質を見落としがちです。

では次の基本用語に行きましょう!

 

●基本用語その4:4つのP

具体的にどのように差別化して、どのようにお客様を絞っていくか、という切り口が4Pです。

4つのPは、

Product(製品):売り物の商品・サービス

Price(価格):値段・価格体系

Promotion(販促):広告などを含む広い意味での売り方です

Placementプレースメント(流通):販路

パソコンを売るのであれば、

製品
・パソコン、パッケージ、など

価格
・値段、どこまで値引きするか、しないか

販促
・テレビコマーシャル、製品カタログ、店頭のPOP、セールストーク、営業パーソンまで含めた売るための仕掛け
販路
・ネット販売、量販店、自社ショップ、などのチャネル

となります。

4つのPは

マーケティングの本には金科玉条のごとくに出てきますが、ある意味当たり前のことです。

ポイントは、あなたの強みを、あなたの強みを評価する顧客に訴えられるような4つのPはどんなものか、ということです。

「高級路線で差別化しよう」と言っても、お客様には何のことかよくわかりません。

お客様が目にするのは、製品、価格、POP・広告、店・販路・営業担当者、などです。

「差別化」を具体的なものとして、お客様に直接「価値」を提供するものが4つのPなのです。

 

●ポイントは、「お客様への価値の提供」

まとめると

1) ベネフィット = お客様にとっての「価値」

2) 差別化・強み = お客様に、競合より高い「価値」を提供すること

3) セグメンテーション・ターゲティング =  あなたが提供する「価値」を高く評価してくれるお客様を選ぶ

4) 4つのP(製品、価格、広告、販路) =  競合と差別化し、お客様に「価値」を提供する

となります。

このような基本原理は、どんなマーケティング本にでも多分書いてありますがバラバラに書いてあることが多いので、わかりにくいのです。

「お客様に価値を提供する」という筋を一本通すと、この4つの基本理論が全てがつながります。

言われれば当たり前のことかもしれませんが、そのような視点で書いてある本や、説明している人はほとんどいません。

ほぼ全ての本が、このような理論が章立てをわけて、別々の理論として開設されています。

お気づきの通り、マーケティングの基本原理は簡単とは言いませんが単純です

当たり前のことです。

1) お客様が求めているベネフィットは何か?

2) ベネフィットを満たす上で、自分が競合より優れている点(差別化ポイント)は何か?

3) その差別化ポイントを評価してくれるお客様はどんな方か?

4) 具体的にどんな4Pで差別化するのか?

という流れで考えれば、全体に整合性・統一性が必要であることはお分かりだと思いますし、そんなに難解な考え方でないことはご納得いただけると思います。